隣町珈琲「小田嶋隆が残したもの」
隣町珈琲という場所を知ったのは、
2019年の秋、特集が気になって購入した
『望星』がきっかけ。
平川克己責任編集による特集「詩のない生活」。
ここに寄せた平川さんの文章がとても胸に残り、
不勉強ながら、それまで平川克己さんの文章を
ちゃんと読んだことがなかったので、それから2冊ほど読んだ。
で、隣町珈琲の存在も知り、興味深いイベントを
よく開催しているので、いつか行ってみたいと思う場所だった。
そしてようやく念願かなって行ったのが、
4月9日(日)に開催された〈小田嶋隆追悼イベント
隣町珈琲が発行している書籍『mal'' 03 特集 小田嶋隆』も
買って読んでいた。
さて、イベント。
最初は、小田嶋さんと縁の深い編集者の穂原俊二さんによる、
小田嶋さんが好きだった音楽についての話。
『mal''』にも寄稿していて、そこでも書いておられるが、
たとえば、イギー・ポップの「Lust For Life」、
映画「トレインスポッティング」のオープニングで使われる曲。
ジョンとヨーコの「Give Peace A Chance」などなど。
穂原さんが、小田嶋さんの奥さまミッカさんから聞いたという
エピソードを紹介してくれた。
・・・・・・・・
亡くなる数日前に、ベッドで寝ていたはずの小田嶋さんが突然に、
「どうしてみんな歌わないんだろう」と言ったそうだ。
「みんなでギブピースアチャンスを歌うところにいるのに!」と。
そばにいたミッカさんが歌うと、小田嶋さんも一緒にうたいはじめ、
「オールウィアーセーイイング、イズ、ギーブピースアチャーンス」
と4回繰り返して歌ったという。
あぁ、この人はもうそんなに清らかなところにいるのだと感じて、
涙が流れてしかたなかった……。
・・・・・・・・・
そんな話も紹介してくださり、そのあとは、
やはり小田嶋さんと縁の深かったバンド、
東京ローカル・ホンクが登場した
小田嶋さんは若い頃、バンドをやっていてオリジナル曲もあり、
東京ローカル・ホンクによる演奏が行われた。
パソコンとスクリーンがつながっていて、
歌詞が映し出されるのも、よかったなぁ。
「おじさん」「できないことはできない」「26」など…。
20代後半の頃につくったものだというが、
なんだかとても、小田嶋さんぽくて、愉快だった。
途中、東京ローカル・ホンクのギター&ボーカルの人が
笑いながら言った一言が、とてもせつなかった。
「なんで(小田嶋さんが)ここにいないんだよ、ちくしょう」
そして、特別ゲストとして登場したのが、春日博文さん。
ギターではなくウクレレ片手に登場。
いやぁ、カッコよかった!
を弾くところを初めて見ましたよ!
あまりにかっこよかったので、CDを購入したところ、
それに気が付いた春日さんが、「サインしますよー」と
言ってきてくれて、サインもしてもらい、
そのアルバムの解説までしてくれました。
(私の名前を聞き間違えて、Ryokoになっちゃったけど、
それはそれで、いい思い出かも)
あったかくて、愉快で、楽しい追悼イベントでした。
隣町珈琲、いいな。
壁には本がたくさん。
そのうち、普段の隣町珈琲にも来てみたい。